論理的思考力(ロジカルシンキング)は、ビジネスのさまざまな場面で活用できるため、身につけておきたいスキルのひとつです。一見難しそうに見えますが、論理的思考力はトレーニングによって鍛えることができます。
この記事では、論理的思考(ロジカルシンキング)を身につけるためのおすすめ書籍をレベル別に10冊ご紹介します。
入門・基礎編│ロジカルシンキングの基礎知識・手法を知るために読みたい3冊
入門編として、ロジカルシンキング初心者でも無理なく読める本を3冊紹介します。論理的思考を鍛える第一歩目にオススメです!
世界一やさしい問題解決の授業│渡辺健介・著
問題を解決するためにどのような思考プロセスを踏むべきかが、イラストを多用した平易な文章で書かれているため、非常に理解しやすい書籍です。
問題解決とは、ひらたくいえば、「現状を正確に理解し」「問題の原因を見極め」「効果的な打ち手まで考え抜き」「実行する」ことです。
「世界一やさしい」とタイトルにあるように、上記のように抽象的な言葉を分解して説明してくれるので、初心者でも理解しやすいでしょう。また、比較的ページ数は少な目かつ図解が多いので、本を読むのに慣れていない人にとっても取っつきやすいでしょう。ロジカルシンキングを学ぶ最初の1冊として、強くおすすめです。
マンガでわかる!マッキンゼー式ロジカルシンキング│赤羽雄二・著
世界的に有名なコンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」出身の著者が、ロジカルシンキングの基礎について書いた本です。
イベント会社に5年もいながら一度も自分の企画を通したことがない主人公の桃子が、ロジカルシンキングを学ぶことで成長していく様子が描かれています。マンガを読むだけで論理的思考を学べるので、普段ビジネス書を手に取らない人でも理解しやすいでしょう。
論理的思考ができる人とできない人の違いは何か、論理的思考を後天的に身につける方法はあるか、そんな問いに答えてくれる一冊です。
赤羽氏の著作『ゼロ秒思考』も良書ですので、本書を読んで興味を持った方は手に取ってみることをおすすめします。
入門 考える技術・書く技術│山崎康司・著
本書の紹介をするためには、バーバラ・ミント氏の名著に『考える技術・書く技術』に触れる必要があります。同署は、「ピラミッド原則」を中心に、論理的思考・表現に関する基礎的な考え方を丁寧に解説してくれます。腰を据えて取り組むことで基礎力が身につく良書です。
一方で、海外の本であることや、骨太な本であることから、少しとっつきにくいと感じる人も多いかもしれません。特に第Ⅲ部、第Ⅳ部では内容が高度なため、ハードルが高いと感じやすいでしょう。
本題の本書『入門 考える技術・書く技術』は、バーバラ・ミント氏の『考える技術・書く技術』を日本人向けにアレンジしたロジカルシンキング入門書です。著者の山崎康司氏は、ロジカルシンキングについて20年以上の指導経験を持ち、また、『考える技術・書く技術』の訳者でもあるのです。
日本語特有の問題を配慮しながら、考えを表現する方法をわかりやすく解説しています。レポートやメールなどのビジネス文書で考えをまとめるのが苦手な人におすすめです。
応用編│ロジカルシンキングを理解を深めるために読みたい4冊
次に、ロジカルシンキングの基礎知識を学んだ後に読みたい、論理的思考についてより理解を深めるための本を4冊ご紹介します。
知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ│刈谷剛彦・著
自分の頭で考えているつもりでも、常識にとらわれて、そのまま受け入れてしまうことがあります。
「知的複眼思考法」は、固定観念や常識にとらわれず考える手法のことで、本書では「知的複眼思考法」の具体的なやり方を教えてくれます。たとえば「創造的読書」「考えるための作文技法」など、思考力を養うための具体的な方法が紹介されています。
また、問いをずらすことで、物事の二面性や多面性を多面的に把握する方法を解説している点も特徴的です。
情報を多角的にとらえ、自分なりの論理を組み立てられる力を得たい人は、本書を読んでみるといいでしょう。
ロジカル・シンキング│照屋華子、岡田恵子・著
2001年(平成13年)の出版以来読み続けられている、30万部突破のベストセラー本です。マッキンゼー出身の著者2名が、ロジカル・コミュニケーションの手法について書いています。
著者2名はマッキンゼー社内において「エディティング」という仕事に従事していました。「エディティング」とは、顧客へのプレゼン資料やコンサルレポート、雑誌や書籍などの原稿、ビジネスレターなどを対象に、論理構成や日本語表現の観点からアドバイスをおこなう仕事です。
これらの資料づくりは、自分や組織の考えを明確かつ説得力のある形で伝え、自分がしてほしいことを相手にしてもらうことを目的としておこなわれます。したがって、課題に照らし合わせて、さまざまな情報の中から正しい結論と根拠を明快に示したり、問題解決のための方法が整理されている必要があります。
そのために必要となるのが「MECE」です。「MECE」は「漏れなく、ダブりなく」を意味します。本書では「MECE」に加えて、論理の飛躍を回避するための問いかけ「So What?/Why So?」について詳しく解説されています。本書を読むことで論理的に説明する技術を学べるでしょう。
仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法│内田和成・著
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)で20年間のコンサルティング経験を持つ著者が、問題を素早く発見し、解決策につなげる技術である「仮説思考」について書いている本です。
仮説とは、その時点で考えられる「結論」のこと。
仮説思考とは、この「仮説」が正しいかどうかをあらゆる方法で検証しながら、欲しい答えに近づけていく方法です。
さまざまな要素が複雑に絡み合い、完璧な予測が困難になっている現代において、徹底的に調べてから答えを出すような仕事の仕方は無理があるでしょう。スピード感を持って質の高い仕事を進めるために、「仮説思考」が役立つのです。
「仕事が遅い」「なかなか決断できない」と悩んでいる人におすすめです。
イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」│安宅和人・著
2010年(平成22年)に出版されて以来読み続けられているロングセラー本で、「ロジカルシンキングの決定版」との声もあります。
本書のタイトルにもなっている「イシュー」については、以下の3つの条件を満たすものを指します。
- 本質的な選択である
- 深い仮説がある
- 答えを出せる
生産性の高い人は、仕事が早いわけではありません。では、生産性が高い人と低い人は何が違うのでしょう。それは、「イシュー」を見極められているかどうか、と著者は語ります。つまり、生産性が高い人が短時間で優れた成果を出せるのは、解決すべき問題をあらかじめ特定し、その解決に集中しているから、というのです。
本書では、そんな生産性の高い人たちの具体的な問題解決のプロセスを学ぶことができます。
知的生産性を上げるためのエッセンスが詰まっているので、生産性の高い人がどのようなアプローチをしているかを知りたい人や、短期間で驚くべきアウトプットを出す方法を学びたい人におすすめです。また、本書は年月をおいて読み返すことで新しい気付きが生まれます。ぜひ手に取ってみてください。
トレーニング編│ロジカルシンキングの力を育てるために読みたい3冊
ロジカルシンキングは理解して終わりではなく、トレーニングを通して使いこなせるようになることが大切です。ここでは、論理的思考のトレーニング編としておすすめの本を3冊紹介します。
ロジカル・ライティング│照屋華子・著
応用編で紹介した「ロジカル・シンキング」の著者による続編で、ビジネスパーソンに必要な「論理的にわかりやすく書くための技法」が紹介されています。
図や具体例が多く使われており、「組み立ての準備」から「日本語の表現」までステップごとに解説されているため、論理的なビジネス文書の書き方が無理なく理解できるでしょう。「ロジカル・シンキング」を読んでから本書を読むと、より理解が深まります。
ロジカル・プレゼンテーション――自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」|高田貴久・著
自分の考えを効果的に伝えるための「提案の技術」について書かれた本です。MECEをはじめとするロジカルシンキングのフレームワークはもちろん、会議の設計や資料作成などについても詳しく解説されています。
また、リアルな現場をイメージできるように、架空のビジネスストーリーも用意されています。提案やプレゼンをする機会が多いビジネスパーソンにおすすめです。
論理トレーニング101題│野矢茂樹・著
論理力を身につけるためのトレーニング練習問題が101題まとめられている本です。全体は「議論を読む」と「論証する」の2つに分かれており、問題を解くことで接続表現や議論の骨格、演繹・推測などについて学べるようになっています。
かなり骨太な本ではありますが、練習問題には回答と詳しい解説が用意されています。通勤・通学時に1問ずつ取り組んでみてはいかがでしょうか。
まとめ|論理的思考力は本を読む&アウトプットを通じて鍛えられる!
論理的思考力は、読書によってトレーニング可能です。また、思い立った日から鍛え始められます。もちろん即効性があるわけではないので、地道な積み重ねが必要です。
思考力を鍛えることで、問題解決をスピーディにおこなえるようになりますし、その分クリエイティブなことに多くの時間を割けるようになります。
ロジカルシンキングになじみがない方は、まずは初心者向けの本を読んでみることをおすすめします。1ページ読み進めるたび着実に身に付きますので、根気強く取り組んでみてください。