コラム

 公開日: 2015-06-12  最終更新日: 2018-03-16

たこ足配線は危険!でも何個も挿せる電源タップは大丈夫なの?危ない本当の理由とは


コンセント確保が難しい時代

◆ コンセント不足は電源タップさえあれば本当に解決するのか?

●ITは私達の生活の姿を大きく変えています。PC、スマホ、タブレット、またはその周辺機器類など一人でたくさん所有するが当たり前になり、家庭や職場に溢れかえっていて、とても一室のコンセントだけでは足りない状態になっています。

●出張サポートで訪れる現場でもほとんど例外なく、壁からのコンセントだけでは足りずに、電源タップなどを使って分岐しながら何とかやりくりしているというのが実情です。

●そのどこもがいわゆる「たこ足配線」になっていて、これは大丈夫か?と見るからに危険臭がする際どい状況のところもあったりします。たこ足配線とは、トリプルタップなどを何個も使って差込を分岐し、つないだコンセント配線がまるでタコの足のようにからまっている状況を言います。

●ところが最近良く使われているテーブルタップなどのいわゆる電源分岐タップは、6箇所も8箇所もコンセントを挿すところがありますよね?
確かに電源タップを使うと見た目は真っ直ぐですっきりしますが、全部の差込口を使ったら、数からいってもそれってたこ足になるんじゃないの?と疑問に思いませんか?
そういうものを売っているんだから大丈夫なようにできているんでしょ?と言う人もいるでしょう。でも、電気が関係するこの話はそう簡単にはいかないのです。

そこで、今回は以下の内容でたこ足配線についてお話ししてみたいと思います。

○電源タップには限界がある
○壁コンセントの使用、タップの連結に注意
○電源タップ、たこ足配線は容量計算が必要
○容量オーバーの危険性とは
○たこ足だけではない危険性とは


※電源タップならたくさんつないでもたこ足に 相当しないのか?

コンセント、電源タップには"容量の限界"がある

◆ 使用したい電気製品の容量(ワット数)を合計する必要がある

●電気機器には個々に電気容量がどのくらい必要なのかという"定格"というものがあり、それぞれ本体や説明書などにその数値が記載されています。

●ドライヤが600W(ワット)だとかエアコンが1,200Wなど、"ワット数"で表示されていたりします。


※本体ラベルに記載してあるIT機器類の容量の例

●電源タップにも、本体や説明書に「トータル1,500ワットまで」とか「15A」と大きく刻印や表示がされています。その表示がそのタップで使用できる合計での容量の上限(限界)値ということになります。

●容量の限界値というのは何かというと、タップに挿した電気製品を同時使用したとき超えてはいけない電気容量の総和のことです。それはタップの構成部品、配線の太さなどの設計がどれだけの電流に耐えるのかということから算出され決められています。要するにたくさん差し込み口がある電源タップといえども、"限度"というものがあるわけです。


              ※電源タップに表記してある容量は使用できる合計の上限値 禁無断転載

●例えば、6個口で15Aが限度のタップに機器1台分しかコンセントを挿していない場合でも、その機器が業務用複合機で表記上"15A"(1,500ワット)の最大容量であれば、それ1台で既にタップの表記限界値の15Aになる・・・つまり1台だけで"限界"に到達してしまうというわけです。ですからせっかく差し込み口があと5個口残っていてもそれ以上は挿して同時には使えないということになります。


                    図をクリックで拡大 禁無断転載

※タップに1台15Aの機器を使用した場合、残りの5か所いづれかを使った時点で数に限らず容量オーバーになってしまう。

●以前、ある事業所で、業務用コピー機を使い始めるとパソコンの電源が落ちて(切れて)しまう・・・というところがありました。状況を確認するとパソコンとモニタ2セット分が同じテーブルタップで使用されていました。これはまさにタップの"限界を超えた"状況になっていたのです。コピー機が動くたびに配線経路上の容量が逼迫し、電圧降下が起きて蛍光灯がちらつき、電圧に敏感なパソコンの電源が貧血状態となってそのたびに電源が切れていたのです。

●このようなことにならないためには、容量の大きい機器は分岐タップから電源を取らず、単独で壁などから専用にコンセントを確保するべきなのです。差込口がたくさんあって一見便利そうな電源タップでも同時に使用できないのでは、事実上意味がありません。消費電力が大きいレンジや電気ストーブなどでも注意が必要です。

壁コンセント、増設タップの正しい接続方法

◆ 間違ったタップ、コンセントの使い方と継増しの考え方とは

●関連する話として、壁のコンセントは通常2口ありますが、もう一方が空いていてもブレーカー回路自体は一つになっているため、大容量の器具で既に片方を使っいる場合、制限容量に近づいています。スマホの充電位ならば大丈夫でも、そこへ電源タップを挿すというのはやめておきましょう。つまり、このような場合は2口の壁コンセントが片方空いていても使えないということです。


                        ※禁無断転載

●さらに、同一の部屋にある他の壁面コンセントやその裏側にある隣の部屋のコンセントが同一回路からきている場合があります。同一回路上(20A Max)で15A(1500W)の器具を2台同時には使用はできませんので、その部屋内の別の壁面コンセントで分けて使えば大丈夫というわけにもいきません。

●ブレーカーを1つづつ落としてみてどの部屋のどのコンセントが同一回路か把握しておきましょう。または建築時の電気配線の図面が保管してあればそれを参考にできます。不明な場合は近くの電気工事店などに相談しましょう。


                        ※図をクリックで拡大 禁無断転載

●ここで注意点は、限界容量の判断として、15Aの電源タップを2本つないだから合計で30Aまでいける・・・というのは大きな間違い。構造的に耐性が上がるわけではないので、延長で何本繋いでも限界は15Aには変わりありません。

●壁コンセントに挿しているタップが最大容量12Aまでのもので、それに最大容量15Aまでのタップを継ぎ増しした場合はどうなるでしょうか?その場合限界は15Aではなく、12Aが限界となります。ですから接続の際にはつなぐ順番も考慮が必要です。コンセント大元に近い方に容量限界の低いタップなどは使わないこと。


                        ※図をクリックで拡大 禁無断転載

たこ足配線で問題になるのは、つないだ機器の数ではない

◆ 同時に使う機器の容量オーバーが問題で、つないだ機器の「数」が問題になるわけではない

●ここまでの話を聞いていると、コンセントの差込口は自由に増やしてはいけない・・と感じているかもしれません。でも、それだったらどうして6個や8個も分岐できるタップが売られているの?と思うでしょう。

たとえば6~8個口の電源タップ全部が埋まってしまい、足りなくなることがあるかと思います。そこへさらに電源タップ、テーブルタップをそれに継ぎ増したりトリプルタップ(三又)などで分岐を増やして、合計10台以上の機器を使った場合はどうなるのでしょうか?

●見た目は配線がまさに"たこの足"のようになっていてかなり危険に見えるかもしれません。しかし、こんな場合でも、つないている機器類の容量計算がきちんと出来ていて、タップの限界を超えていなければ大丈夫なんです。


※使用している機器の容量が小さく、合計でタップの定格以下であれば上図のような状況でも直ちに危険ではない。

●スマホ充電器、ノートPC、ルータやモデム、インクジェットプリンタなどの容量が小さい機器同士ならば全部の容量総和は大したことはありません。タップの限界容量を超えていなければ挿している機器の数が、仮に10台以上になったとしても危険はありません。電気ストーブ1台で限界になってしまうテーブルタップでも、電気容量が小さい機器なら合計して限界に達するまで10台以上分岐してつないでも問題がないというわけです。


                          ※禁無断転載

●要するに、たこ足配線が危険な場合というのは挿している"個数"ではなく、同時に使用する機器の"容量の合計"がタップや配線の定格をオーバーしてしまう場合なのです。ですから容量上限を超えなければ電源タップ全部の差込口を同時に使っても、さらにそこから継ぎ増しや分岐しても大丈夫なんです。ただし、これには条件があって、配線に断線や傷み、プラグなどの破損などがないということが必要です。

●それでも油断は禁物。せっかく計算してタップを管理していても、誰かが知らない間に電気ストーブや加湿器などをそこへ追加し、挿した時点で一気に限度を超え危機に陥ってしまいます。人員の多い事業所などではタップに「ここはもう限界」など張り紙をして、容量を超えないように注意して使う必要があります。

●また、配線同士がひどく絡みあったりしていると、どれが何の線だかわからなくなり、機器に何か問題が生じて電源プラグを抜く必要に迫られた際に、迅速な対応が出来なくなってしまいます。コンセントプラグ部分に、何の線であるかをラベルなどで表示しておくと、いざという時に役に立ちます。

容量オーバーの結果どうなる?

◆たこ足配線が怖い本当の理由はこれだ!

●容量オーバーで使用すると危険だというけれども、具体的に何がどう危険だというのでしょうか?
電源タップなどで「安全装置内蔵」というブレーカ回路内蔵のものがありますが、これは限界容量を超えた時点で自動的に電源を切断する仕組みになっています。

●自動で切ってくれるなら、安全で便利そうな印象がありますが、デスクトップパソコンなどの電源を同じタップから取っていた場合、パソコンの電源も突然落ちてしまいますので、編集中のデータを失ったり、OSやHDDがダメージを受ける可能性があります。また、リセットスイッチで戻せばまた復帰するからと言って、落ちた原因を排除せず何度もリセットで復旧させて使用することは危険です。

●ブレーカーが内蔵されていない電源タップの場合、容量オーバーになるとタップ本体や配線が高温になったり、最悪の場合は焼損などを起こして発煙したり、その結果火事の危険性も出てきます。下記はその実験例です。

●情報:埼玉県 消費生活支援センター
電源タップの発熱に注意しましょう(商品比較テスト結果)
https://www.pref.saitama.lg.jp/b0304/testkekka/tabletaptest.html

容量さえ守れば安全か?

◆ 配線や器具の状態、ほこりにも注意

●数が多くても合計が許容容量以下であれば大丈夫と言いましたが、他にも注意したいことがあります。それはほこりです。電源タップなどを床に直接置いたりデスクの下や奥に押しやっていると、ほこりまみれになっている場合があります。ほこりはトラッキング現象を誘発します。

●トラッキング現象とは梅雨時や冬の窓際など、湿気を帯びたほこりで覆われた甘挿しの電源プラグがショートして発煙、発火する現象です。


●分岐が多いとそれだけトラッキング現象を誘発する箇所も増えますから、ほこりっぽいところでのたこ足配線は気をつけたほうがいいでしょう。

●それから、配線のつなぎ目や電線の被覆が傷んで中の配線が見えるようなもの、またねじれていたり、踏んで折れ曲がりなどがある、コンセント差込口の樹脂が割れていたりするものなどは大変危険です。結構そのようなものを使っているお宅は多いものです。そのようなものは「もったいない」には全く該当しません。早急に新しいものと取り換えましょう。

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