コラム

 公開日: 2014-09-27  最終更新日: 2016-02-07

バックアップ出来ていると思って実はできていない例

バックアップには様々な運用形態がある

●昨日サポート依頼のあったのはネットワーク簡易NASのトラブルです。データが読みだせなくなったということでデータを復旧して欲しいと言う依頼です。

●簡易NASと言うのは、ネットワークで使用するファイルサーバで、価格はさほど高くなく設定も簡単で手軽なため結構な台数が様々な所で使用されています。

●今回のNASは内部にHDDが2台入った"RAID"(レイド)という方式のものです。通常のUSB外付けHDDなどの外部記憶装置はHDD構成は1台のみです。RAIDというのは複数のHDDで構成されていて様々なメリットがあるために、こちらの方を選択する場合も多いようです。

●本来、バックアップというのは同じデータが複数箇所に存在していて初めてバックアップたりえるわけです。ところが、外部記憶装置にしかデータが存在しておらず、ただのデータの保管場所にしているのにそれを"バックアップ"と言って運用している危うい状況にあるユーザーも多いのです。

●確かにOSと同じHDDではない外部へ保存しておけば、OSが起動しなくなった際にデータを巻き込まなくて済みます。しかし、外部とは言えHDDも機械ですから故障ですべてデータを喪失してしまうおそれがあるため、複数のHDDを使うRAIDにしてリスク回避を図ります。


※今回持ち込まれた簡易NAS ただの機械ですので壊れることもあります。

●さて、今回持ち込まれたものですが、確かにHDD2台でRAIDで運用されています。しかし最初に気が付いたことは、設定が"RAID0"になっていたということ。

●HDD2台以上で運用するRAIDには2種類あって
RAID0(ストライピング)
RAID1(ミラーリング)
があります。

●RAID0(ストライピング)は2台のHDDにデータを交互に書き込んで高速性を確保しようというもの。メリットは一度に2倍の速度で書込み読込が出来るのでアクセス速度が速い、そして2台の容量を足し算できるので大きな容量を使えることです。デメリットは高速性からくる発熱が多く酷使するような状態になること、そのため故障も多くどちらか片方が壊れてしまうとデータが全く復旧できなくなることです。

●RAID1(ミラーリング)はデータを書き込む際にHDD2台に全く同じデータを書き込むというもの。これならばどちらかが故障しても、片方には必ずデータが生きていると言うわけです。ただし全く同じデータを書き込みますからHDDの容量は2台でも1台分です。それにデータ保持は故障の際だけの期待であって、誤消去やウイルス被害については2台が全く同じデータ状況になるため影響は避けられません。

●RAID0はリスクよりも高速性を活かしたメリットを最優先に考えて運用する方法。たとえば大容量のデータを高速転送し頻繁にやり取りする動画編集などに有利です。 RAID1は、アクセス速度や容量よりも故障の際にデータの保持を最優先に考えて運用する方法です。

●このように、それぞれの方式は用途も挙動も全く別のものになるために両方のメリット、デメリットには共通性がありません。運用する前にどちらを目的で使うのかしっかりとした方針で使わなければ、どちらも満たさない結果となって導入した意味がほとんどなくなってしまいます。


内部には2台のHDD。RAID0、1は2台のHDDを使用して生じるそれぞれのメリットを活かす。

設定一つで勘違い運用。悲劇はそこから始まる

●調べてみるとこのメーカーのこの機種はデフォルト(標準値)がRAID0になっていて、RAID1を使いたい場合は設定を手動で変えなければならないようです。

●ところが、デフォルトのままRAID0で運用されていました。HDD1台が物理的に壊れてしまい、データが読み出せなくなっています。これではバックアップの意味がありません。

●音からするとプラッタ上をヘッドが引きずっている音がしますので通常では回復不可能。ラボ作業でもおそらく望みは薄く、復旧費用次第では断念となりそうな状況です。

●依頼者の話ではこのNASは以前、業者が持ってきて付けて行ったということですが、業者もRAIDのモードなどをきちんとオーナーに確認せずにそのまま取り付けて帰ったしまったようです。

●バックアップ目的ならばやはりRAID1で運用するべきで、もし今回のトラブルがRAID1で起こっていたら片方のHDDは生きていますのでデータは復旧可能でした。

●バックアップはこのように設定1つで御破算になってしまうことは珍しくありません。何でも業者任せにせず少しでも意識を高めていただき、未然にトラブルを回避できるようになれば不必要なリスクを被らずに済みます。

●外付けHDDのみが頼り・・という状況で運用されているバックアップ環境もいろいろと問題です。「機械は壊れるもの」ですから過度な依存は危険。バックアップやデータ管理についても自己流ではない確かな情報を積極的に取り入れて運用していくことも必要です。

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