コラム

 公開日: 2016-08-18  最終更新日: 2016-08-19

PC量販店の高額料金が問題に・・IT現場から見たその原因と背景

●PC量販店が高齢者や情報弱者に高額な料金を請求して社会問題になっています。同じような業務内容を行っている専門家として、今回の問題には触れずにはいられません。

●このような問題は以前からこの会社以外でも、一部の悪徳業者によるものがありました。しかし、一部上場企業の量販チェーン店が起こしたとなると社会的な問題として影響は大きいでしょう。

●コンプライアンス重視のこのご時勢に、なぜこのようなことが起きるのでしょうか?ITサポートの現場からみたその原因と背景を考えてみます。

専門性を度外視した説明不足の安易な販売

●IT関連機材も今ではすっかり量販品となり、家電感覚で購入できるようになりました。しかし、つい15年ほど前には、専門性の高い一部の技術者だけが取り扱うような性質の製品であったはずです。

●パソコンもそのひとつで、ネット回線導入もまだ一部の企業などに限られていました。

●要求される高い専門性も普及と共に製品の改良や技術革新などによって導入の敷居が低くなりました。低価格化も手伝って入手もしやすくなり、心得のある人ならば簡単に取り扱えるようになりました。

●しかし、まだ家電品のようにすべてのユーザーが誰でも扱える"汎用"の領域には達しておらず、専門性が残ったものもかなり多いのです。

●よくあるのが、無線Wi-Fiルータです。最近多い事例ですが、スマホのパケット量が気になり始めて自宅のネット環境をWi-Fi化したいと思っている方が多くなっています。

●そのため、量販店の店員さんとか電話営業の回線業者から「説明書を見れば誰でも簡単に設定出来ますよ」と言われてついその気になりWi-Fi機器を購入してしまうというのです。ところが、説明書の通りにやってみてもどうにもつながらない・・・回線業者はモデム以降のことは責任がないため、取り合ってはくれません。どこに相談して良いかもわからず行き詰まってしまい、結局Wi-Fi化をあきらめて部屋の隅にせっかく買ったWi-Fi機器を放置しているというお宅は珍しくありません。

●一口にWi-Fi設定とは言っても、環境や使用目的、用途によって設定方法は様々で、ある程度仕組みを理解していなければ接続設定は無理というものです。これは、無線ルータに限りません。

●しかし、なぜ店員さんは購入時にひとこと「経験がないと難しい場合もある・・・」といってくれなかったのでしょうか?

●「難しい」といってしまうと折角の購入意欲を喪失させることを店員は知っているからに他なりません。要するに販売する側とすれば売れればいいわけです。購入後の問題はユーザー側の責任だと言い、切って捨てれば良いというスタンスです。

●これはIT全般に言えることで、Windows10への突然アップグレード問題を見ても分かるように、企業はユーザーの都合などちっとも考えてはいないのです。

●最近の消費者問題を見ているとITに限らず、専門性の高いもの全般に起きていることが分かります。要するに、企業は情報弱者を狙うことに生き残りの活路を見出し始めているということなのでしょう。

●販売だけでなくサポートも多くの業者がまともなスキルなしに事業展開を行っている実態があります。
その例として過去に下記のコラムで紹介しています。

今のITサポートの現状はこれだ! ITサポートの実情に迫る
http://mbp-fukuoka.com/pc-pro/column/7785/

専門分野への対応は個人では限界がある

●企業のこのような問題に対し、個人が法的な対応をするのは現実的な面を考えると難しいでしょう。余程のことがない限り公的な介入も難しいため対応が遅れる、放置するなどが現状で、被害がなかなかなくなりません。

●最近特に悪質なのは、このような個人の限界を熟知していて、要するにほとんどが泣き寝入りになることを分かった上で悪事を行う企業があることです。ここでも情報強者が勝ってしまうのです。

●IT関連は今でも専門性が高いことには変わりありません。年々、普及が進むにつれて理解度は上がってきてはいるものの、私が見る限り、ITに対して全般的に広く対応が可能な人材や仕組みは皆無と言っていいでしょう。

●しかし、生活のインフラとして普及は進んでいます。それに対して、関係各機関、役所などが行っている対策は的外れなものばかり。

●家族に相談するように・・・とはいっても、その家族もITに不慣れな場合では問題は解決しません。

このままではIT難民であふれかえる未来が待っている

●講習会も、タブレット講習やワープロ講座、写真編集などが主流で、本当にインフラとしてITと向き合える教育の場は皆無です。

●やはり、ITについて公的な支援、教育を行うべき段階に入っているといえます。成熟期に入ったIT社会にふさわしい支援の仕組みを作るべきです。

●日本は幸いにEUのような難民問題はほとんどありません。しかし、このままではやがて日本は国民がIT難民となり、あふれ返る時代が来ると思います。

●公共施設ではホームページ作成講座やフォトショ講習、タブレット講習ばかりやっています。ユーザーが安全であんしんしてITと関わっていけるような内容のものはひとつもありません。これではこの先、今回のような問題は一向に解決はしないでしょう。

●ITでは、一般ユーザーと企業の間に深い溝があります。それを橋渡しする仕組みをつくり、今回のような問題を起こさせない環境づくりにだれかが着手することを切に願わずにはいられません。

あんしんパソコン相談室
小規模事業所のIT運用保守講習
http://www.kumin.ne.jp/kiw/learning.htm

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九州インターワークス [ホームページ]

システムエンジニア 古賀竜一

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